業績を上げる経営計画の作り方
経営計画も業績を上げるためにあるというと可笑しく聞こえるかもしれません。しかし、事業の一環としてやっているからにはやはり業績を上げる一助でなくてはなりません。経営計画は、社長の構想を利害関係者に知らせるためのものです。企業の利害関係者の中で特に関係が深いのが「社員」です。ここでは社員を巻き込んで経営計画を策定することで業績をどう上げいくかを考えます。
2-1. Vision(中長期計画)と単年度計画
中長期計画は社長の夢を入れる
「5年後の利益計画など当てにならない」とおっしゃる方もいます。確かに環境の変化が速い中で5年後の計画は当てになりません。寧ろ、中長期計画は細かい内容よりも自分と社員に向けて方向性を示し、到達点を明らかにすることであると考えることができます。
中小企業の場合には中期計画ではなく、経営Visionという形式にする場合もあります。誰が何をするかを記載した計画というよりも全社が目指す目標といった方が分かりやすいかもしれません。ですので、経営Visionといった場合には主に社長/経営者が作成します。逆に年度計画は経営幹部/管理職/マネージャがしっかりしたものを作ります。
5年間の中期経営計画は毎年作り直す方も多くいらっしゃいます。毎年、作り直すことで中期経営計画を最新に保ち、実行可能性が失われないようにしています。
単年度計画は行動計画をしっかり盛り込む
単年度の計画は必達とし、詳細を練ります。5年後の未来を踏まえて、じゃあ今年はどうするのということを明らかにします。社長とそれぞれの社員が何をするのかという点を明確にします。
年度計画は更に細かく、年次、月次、日次のように考えていきます。
- 月次や日次の目標をたてて行動する
- 目標に対する実績の振り返りを行う立てた目標を達成して行く為の仕組みが、先程述べたPDCAということになります。振り返りの頻度は月次で良い場合もありますし、週間が良い場合もあります。運用開始当初は期間を短めにとった方がうまく行く場合が多いです。
2-2. 年度計画策定のプロセス
1. 中期経営計画から導かれる今期の方針を示す
経営理念で示された理想や目標を達成する為に中期計画やVisionを社長が示します。目的は部門責任者が単年度計画を作れるよう情報を与えることです。ですので、経営幹部・管理職が理解できる内容であることが求められます。
最初は「今期の方針」のように、ヒントを出した方がいいでしょう。
2. 各部門の責任者が数字と具体的行動計画を示す
社長の方針を受けて各部門の責任者が利益計画と具体的行動計画を作ります。
利益計画は社長を含めたマネジメントの決意表明となります。反対の言葉でいうと利益計画を約束できない役員・管理職はその任にあたる資格がないと言えます。
- 具体的取組み
- 利益計画
3. 社員向け経営計画発表会
一般社員向けに今期の計画、即ち目標と行動計画を発表します。
2-3. 経営計画の作り方
- 経営理念経営理念は経営者の個人的な仕事に対する哲学を言葉にして発表したものです。下記に策定方法の詳細がありますので、納得できるものを作ってみましょう。
- Visionは中期的な定性目標を言い、経営目標は定量目標を言うことが多いです。
- 現状分析現状分析は自社外の分析と自社内の分析を行います。自社外の分析として、外部環境分析や業界動向があり、自社内の分析として、財務分析、自社の強み分析、従業員意識調査等があります。
- 戦略戦略とは方向性のことです。大手企業や競合の動向を考えながら、最もリスクが少なく、収益が大きい道を探しましょう。
- 課題&施策Visionと現状の差異と、戦略から経営課題が抽出され、それを達成し、目標を実現する施策が必要となります。
- 行動計画どういう施策を行っていくか、事業計画を策定します。又、施策がどういう形で結実するか、計画を実施するに当たり財務的な問題が生じないかを計画を作って検証します。当社の業務の中で売上につながる活動量や数量を元に売り上げ方程式を作ります。これを元に行動計画を策定します。
- 財務計画前述の売上計画、販売計画を元に粗利を計算し、固定費との差異で利益を算出します。売上に付随して増加する売掛、在庫、買掛等の各要素をB/Sに盛り込みます。
経営計画は、専門的には上記の過程を経て作成しますが、計画を作ること自体が目的ではありませんので、大幅に簡略化して 「1.経営理念、2.基本方針、3.活動計画」という簡単なものでも良いでしょう。大切なのは、社長と従業員が納得できる内容であることです。
2-4. 中期経営計画 / Vision / 中期目標
中期経営目標は、設備投資、賞与原資、借入金の返済から利益計画を立て、目標を逆算します。
2-5. 単年度経営計画
中期経営計画より1年分を切り出します。売上高は季節変動を加味したものとし、又、地代・家賃や賞与等、特定のタイミングでお金が出ていくものを勘案します。
2-6. 行動計画
業績を改善している会社の秘訣
- 中長期計画は社長と従業員が期待が持てるものとする。
- 単年度計画は確実なものを作る。
- 社長の方針を受けて、各部門が数字をつくる。最終的には「いつまでに」「誰が/どの部門が」「何を」行うかまで詰める。