NEWS&REPORTS

【悪用厳禁】ブラック企業が成り立つ訳は?:動機づけ要因・衛生要因

最近、話題になっているブラック企業、乱暴な言い方をすれば、嫌なら辞めてしまえば良いように思います。劣悪な労働環境でも社員のモチベーション/エンゲージメント/責任感は下がらないのでしょうか。社員のモチベーション/エンゲージメント/責任感が下がり、社員が皆辞めてしまったら事業として成り立たない筈ですので、ここまで話題になっているのも不思議な話です。

F.ハーズバーグ(Frederick Herzberg 1923-2000)は動機付け要因と衛生要因と言っています。用語は少し分かりにくいのですが、簡単にいうと満足要因、不満足要因と考えることができます。

動機付け要因衛生要因
満足不満足
仕事そのものから得られる職場環境からもたらされる
達成・承認・仕事内容・責任・権限・昇進会社の方策と管理方針・監督・給与・対人関係・作業条件

不満足を解消したからと言って、満足度が高まるわけではない。

F.ハーズバーグは社員の満足が仕事そのものから得られると考えました。社員の満足(社員のモチベーション)が向上するものとして、達成・承認・仕事内容・責任・権限・昇進などを上げました。一方で社員の不満足、社員のモチベーションを下げる要因として仕事環境を考えました。例えば、会社の方策と管理方針・監督・給与・対人関係・作業条件などが不満足要因(衛生要因)となります。F.ハーズバーグの知見は、満足要因(動機付け要因)、不満足要因(衛生要因)の2つが別個の存在であることを示唆してくれます。

冒頭のブラック企業の例で考えれば、F.ハーズバーグの理論に沿って、ブラック企業は不満足要因(衛生要因)も高いが、満足要因(動機付け要因)も高いと考えられないでしょうか。つまり、満足要因も不満足要因も高いのです。F.ハーズバーグ先生は満足要因として達成・承認・仕事内容・責任・権限・昇進を上げました。ブラック企業は労働基準法を無視しているわけですから、成果は出やすく、加えて人の出入りが激しいので短期間で昇進し責任の重い仕事を任せることができます。但し、権限はないので、昇進して責任が増えれば更に長時間労働でこれに応える必要があります。一方で不満足要因として会社の方策と管理方針・監督・給与・対人関係・作業条件が挙げられています。社員が厳しい管理下におかれ給与も安く長時間労働をしているとすれば、不満足要因は高まります。ただそれを補うだけの満足要因があると考えられないでしょうか。

ブラック企業の特性が満足要因に影響していると思われる項目を以下にまとめました。

  • 成果が出やすい: 労基法無視で生産性を向上
  • 短期間で昇進: 離職者が多いため
  • 責任の重い仕事を任せる: 人材不足と急速な事業拡大

ブラック企業の話はF.ハーズバーグの理論で簡潔に説明がつきます。

ブラック企業の話はここまでにして、自社のことで振り返ってみます。この理論のいうところは、単純に給料を上げたからといって社員のモチベーション・責任感が高まるわけではない。或いは、高級感溢れる事務所に引っ越したからといって社員のモチベーション・責任感が高まるわけではないことを示唆しているのではないでしょうか。勿論、今現在、労働環境が劣悪であったり、給与が業界水準に比べて著しく低いのであれば、改善する必要があるでしょう。それとは別に仕事の内容で社員のモチベーション・責任感を高める取り組みを進める必要がありそうです。




Index

部門方針テンプレート

簡易診断

御社の現状を客観的に診断してみませんか? 企業経営 簡易診断

Whitepaper

More from the site

  • 社員エンゲージメントを上げる本質的な方法: C.アージリス 職務充実、職務拡大社員エンゲージメントを上げる本質的な方法: C.アージリス 職務充実、職務拡大 結論から書いてしまいますが、社員のエンゲージメントを上げる本質的な方法は、権限移譲と人事異動しかありません。こういうと「なるほど」と思う方もいらっしゃれば、「そんな筈はない」という方もいらっしゃるでしょう。権限委譲と人事異動といったのは、C. アージリスという経営学者です。因みに権限移譲と社員エンゲージメントの関係を最初に行ったのはハーズバークという経営学者です […]
  • 社員のモチベーション/エンゲージメントを高める4つの要点社員のモチベーション/エンゲージメントを高める4つの要点 「組織成立の為の3条件」「ホーソン実験」「職務充実&職務拡大」「MBO」等、経営者が知っておいて損はない社員のモチベーション・責任感に関する理論を下記にまとめた。環境や報酬とモチベーション・責任感の関係、組織目標と個人目標の関係を改め整理すると、組織と個人について新しい視点が得られる。 結論 議題 視点 […]
  • 部下を自主的に動かす方法: ティーチングとコーチング部下を自主的に動かす方法: ティーチングとコーチング 最近、流行りのものに体重減量目的の個室ジムがある。体重を減らしたい人が自主的に目標を決め、トレイナがそれを指導・支援する仕組みだ。自分で決めた目標だから自分に責任がある。又、結果は客観的な指標であり、主観的な評価は含まない。勿論、組織としてはトレイナにも顧客の目標達成に対する責任があると考えているであろう。このような関係を上司と部下、会社と従業員に作ることによって、自主的 […]
  • ホーソン実験: 職場環境を変えれば社員の生産性が上がるか?ホーソン実験: 職場環境を変えれば社員の生産性が上がるか? 待遇を改善すれば、給与を上げれば、社員のモチベーション、エンゲージメントは増加するでしょうか。実は昔はそう考えられていましたが、今はそうは考えられていません。 ホーソン実験とは? 突然ですが、電気部品組み立て工場の照明、明るいほうが良いか、暗いほうが良いか、どちらだと思いますか。 下のスライドの写真は著作権の問題で全く関係のない工場の写真になっていますが […]
  • 【単年度計画・行動計画】管理職のための目標制度の手引き: 目標制度運用方法【単年度計画・行動計画】管理職のための目標制度の手引き: 目標制度運用方法 【優先順位付けと単年度の財務目標、行動目標】 中期経営計画は、大まかに5年後を見据えたやることの洗い出しでした。 ここからは今年、何をやるのかという単年度の計画を詰めていきます。 単年度の計画は「誰が」、「いつまでに」、「何を」するかという 担当者、期限、行動の3要素を詰めていきます。 ・ […]
  • 簡易診断簡易診断 Initiatives […]
NEWS一覧