経営幹部・中核社員の能力開発の方法
社員の能力が低いとお嘆きの経営者も多いようです。実際、中小企業では優秀な人材を採用するのが難しいですよね。そこで見方を変えて、普通の人材を優秀な人材にする能力開発の方法はないかと考えてみます。よくあるのは社内研修です。新入社員研修や管理職研修など、様々な研修があります。ところが、ある調査によると、社内研修よりも実地での経験の方が能力開発に効果があるそうです。
要領よく実地での経験を積むためにはプロセスの見える化が不可欠です。例えば、免許の教習で速度計が壊れていたらどうでしょうか。運転の練習は難しくなります。つまり、プロセスや結果が直ぐに分かる状態が経験を積むための近道なのです。ここでは各部署の数値結果を明確にし、それにどう対応していくかというプロセスを考えてみます。
4.1 会社が大きくなってきたら、予実検討会議を開く
会社が小さいとき | 社長だけが数字に強くても会社は成長する |
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会社が大きくなってくると | 幹部が数字に強くならないと会社は成長しない |
会社が大きくなってくると、社長が全ての業務を見ることが難しくなりますし、 経営幹部の力を活かすことで組織力を発揮することができるようになります。 経営幹部に力を発揮させるには、担当の部署の数字(結果)がハッキリわかっていることが大切です。 結果が直ぐに分かれば分かる程、改善の速度は速くなります。
経営における最終的な結果というのはやはり収益ではないでしょうか。上記の例では、営業部、製造部、管理部を事業部として捉え、損益を事業部別に表示しています。部署別に部署長の判断の結果が直ぐに分かれば、改善も容易になります。部門別採算制に関しては下記のURLもご参考ください。
4.2. 幹部が数字に強くなるには
「そうはいってもウチの管理職は数字なんて分からないよ」という会社もあります。誰でも最初は分からないものですが、自ら考えていれば、自ずと理解できてくるものです。そこで役員会や部長会議の場で結果を数字で発表してもらいます。
- 数字で発表してもらう
- どうしたら良いのかを発表してもらう
「何故悪かったのか」ではなく「どうしたら良いのか」を発表すると、 経営幹部や中核社員の責任感を育てることができます。 社長以外の責任は、経営責任ではなく、何とかして目標を達成する責任だからです。つまり、結果責任ではないので、どうするかという行動の責任を明確にしてもらうのです。
経営の多くのプロセスは、分析(良かった点、悪かった点)→行動計画(誰がいつまでに何を)→資源の調達計画(経営者の理解、他部署との調整、資金繰り)→数値計画(損益計画)という流れを取ります。たまに分析だけで終わっている報告を見るのですが、それでは不足しています。どういった仮説をもとに、いつまでに何をして、必要なものは何で、結果としてこうなる筈だということがなければなりません。ここは経営幹部の報告が分析で終わっている場合には適切な方法で導いてあげる必要があります。
4.3. 数字に強い幹部を育て、利益がでる組織をつくる
具体的に数字のどこに着目すればよいかをコンサルティングの実際に合わせて以下の通りまとめてみました。
- 簿記ではなく、実態に即した数字を把握する
経理部長や税理士の先生は正確な数字を計算することに注力しています。これは税務署に報告する数字を扱っているからと考えられます。一方で経営の数字は成るべく直ぐに分かることが重要です。簿記の知識がなくてもまずは要点を抑えることを目指します。 - 利益を出す為に数字を確実に把握する
- 各勘定科目の金額の大きいところから意味を知る
- 数字の内訳に注目する
・ どこからいくらもらっているのか?
・ どこへいくら支払っているのか? - 現在の計画達成度を知る
・ 計画通りなのか、計画には足りないのか? - どうすれば今以上に利益を増やせるのか?
- 来月・来週・明日、するべきことは何か
- これらのことを会議で発表する
前月は○○の利益でした。来月△△を行い、利益を□□にします。各科目を検討する際には数字の大きいものから順に考えていくほうが良いでしょう。数字の大きい科目を改善することができれば、それだけ成果も大きいと考えられるからです。一方で、科目の内容を検討する際には売上とその元となるもの、例えば仕入れ、製造原価、広告費などを検討していきます。
- 継続的に取り組みを行うと、利益が残る組織体質になる
業績を改善している会社の秘訣
- 成長している会社は社長も幹部も数字に強いようです。
- 社長や社員が数字に弱ければ、結果に対する意識が弱くなり、 結果を出すのがむずかしくなります。
- また、結果が分からない為、改善が進みません。
- これでは生き残りが難しくなります。