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管理会計(部門別採算制)の計算方法

そもそも管理会計(部門別採算制)とは?

管理会計の手法の一つで事業別採算(部門別採算制)があります。部門別採算制は事業、部署、顧客セグメント別に損益や財務実績を計算します。本稿では、ここで使われる配賦費について解説します。

因みに部門別採算については、稿を改め、分かりやすく解説していますので、手っ取り早く概要を掴みたい人はそちらをご覧ください。

管理会計(部門別採算制)の計算方法とは?

部門別採算制(管理会計)は、事業、部署、顧客セグメントといった採算単位で損益を表示します。「部門別採算制」という言葉の「部門」は、この採算単位(SBU)のことを指します。

取引や損益変動、貸借変動を複式簿記で記録していくことを「仕訳け」といいますが、仕訳けを行う際に採算単位(SBU/部門)を入力することで、SBU別の損益を計算することができます。(これは今どき、どの会計ソフトにも備わっている機能です。)

ただ、このまま表示するだけであれば、直接部門(営業部・事業部)の利益が大きく見えすぎてしまう、売上のない部門の納得感が薄い、部署の掛け持ちを計算できないなど、必ずしも事業実態を反映したものとはなりにくい懸念があります。そこで、管理会計独自に追加で計算を行って、より実態を反映し、情報共有を促進する訳です。

管理会計(部門別採算制)の追加計算には以下の3種類があります。

  • 社内取引: ある部門(SBU)の売上を別の部門(SBU)の売上として計上する計算
  • 配賦費計算: 間接部門の費用(コスト)を直接部門で負担する計算
  • 応援時間: ある部門の人員が別の部門(SBU)の業務を手伝った場合の計算

管理会計(部門別採算制)の追加計算の必要性・メリット

追加計算を行う必要性・メリットは、事業実態を反映した部門別損益を計算すること/計算できることです。元々、管理会計の目的は経営判断に資する情報提供にあります。従ってなるべく性格且つ迅速であれば、それに越したことはありません。追加計算を行う必要性・メリットについて以下の3つにまとめました。

  • 直接部門(営業部・事業部)の利益が大きく見えることを防止:

    直接費だけの計算だと、売上のある部門/SBUの利益が大きく見えます。総務部・管理部等の全社共通費用が計上されていないので、当然です。例えば、事業部A 売上100・費用90、事業部B 売上120・費用100となった場合、全社共通費用が30を超えると、事業部では黒字に見えますが、全社では赤字になってしまいます。
    売上のある部門/SBUの利益が過大に見えることによる所属人員の慢心を気にする経営者もいます。
  • 売上のない部門の納得感・意欲増進:

    売上のない部門は当然、赤字になります。例えば、典型的な営業部・製造部・総務部という組織構成では、製造部と総務部には売上がありません。赤字だったとしても、結局、計画との差異がなければ目標達成したことになりますので、組織に充分貢献したと言えます。ただ、見た目は赤字になってしまい、当該部門/SBUとしては面白くありません。そこで、飽くまで気分の問題ですが、目標費用/計画費用を社内売上とすることで黒字に見えるようにすることがあります。
  • 業務時間の実態に即した計上:

    大企業であれば、人材を必要なだけ揃えることができますが、中小企業の場合には部署間で人手を融通することは良くあります。例えば、総務部の人員が出荷を手伝ったといった例です。このような場合には、人手を融通した費用も正しく見積もる必要があります。

管理会計(部門別採算制)の追加計算のデメリット

こうした追加計算のデメリットは「やりすぎ注意」ということです。部門/SBU間の公平性を追求しようとすればするほど、追加計算は複雑になっていきます。計算が複雑になると、結局、何の数値だか分からなくなってしまいます。事業部制・カンパニー制を前提とし、経営幹部間で財務実績を共有し、事業部長/部門長が利益を管理していくためには、数字の構成の理解が不可欠です。この理解が欠けると効果を半減させかねません。

追加計算は実額ではない、即ち計算された仮想的な費用にすぎないので、どこまでもやっても完全な公平を実現することはできません。公平性の飽くなき追求よりも、分かりやすさを優先することをお勧めします。

因みに部門別採算制を発展させたアメーバ経営では部門/SBU間の公平は、部門長/SBU長の交渉で決めているそうです。理論的には極めて正しいですが、交渉のコストが大きそうです。

追加計算は飽くまで簡潔に、説明可能な範囲で行うことをお勧めします。

管理会計(部門別採算制)の計算方法

前述の通り、各部門・各SBUの売上と直接費については、会計ソフトで入力しておけばできますので、それ以外の計算が要点となります。以下に一般的な3つの計算方法を挙げます。

社内取引/部門間取引

ある部門/SBUに費用を計上し、それと同額を別の部門/SBUの売上として計上する計算を言います。それぞれ社内仕入、社内売上と呼びます。但し、「社内仕入」と言いますが、必ずしも仕入れに関係するものでなく、固定費でも計算することができます。同額をプラスマイナスしますので、全社利益には影響しません。

例えば、営業部の売上高100に対して、80の社内仕入を計上し、同額の80を社内売上として製造部に計上します。他の例では、毎月営業部で30の固定費を社内仕入として計上し、同額の30を総務部の社内売上として計上する場合もこの例です。

配賦費/共通費

配賦費計算は、間接部門の費用(コスト)を直接部門で計上する計算です。直接部門の配賦費率を決め、その割合に応じて配賦費/共通費として計上します。例えば、営業1部 売上高150、営業2部 売上高 100とし、総務部 費用(コスト)25を売上高に応じて割り振る場合、営業1部の配賦費 15、営業2部の配賦費 10という計算になります。

応援時間

応援時間は、他部署の業務を支援した場合に、業務を支援した部署のプラス(収入)とし、その同額を支援を受けた部署のマイナス(費用)として計上する計算方法です。時間単価×時間数で額を計算します。例えば、総務部が出荷部の作業を3時間手伝い、時間単価が2000円だった場合、2000円×3時間=6000円を出荷部の費用と総務部の収入のそれぞれに計上します。

実は応援時間計算は伝統的な管理会計には含まれていません。ここで初めてご覧になった方もいらっしゃると思います。この計算は、当社のコンサルティング経験の中で中小企業経営に必ず必要となり盛り込んでいるものです。

いかがだったでしょうか? お役に立つ内容だったでしょうか? 当社では、各事業、各部署等、マネージャがユニットの計画を策定し、計画と実績の差異を表示することで、マネージャのエンゲージメントを高め、計画の精度を向上させる仕組みに取り組んでいます。ご相談があればご連絡ください。

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